どんな病気か知りたい

治療法

ファブリー病の治療法には、からだの外から足りない酵素を補う「酵素補充療法」、酵素がうまくはたらけるようにサポートする「シャペロン療法」があります。これらは継続することが重要です。
また、現れた症状ごとに行う「対症療法」があります。

ファブリー病の治療法

酵素補充療法とシャペロン療法、対症療法があります。

酵素補充療法

酵素補充療法

ファブリー病の症状は、「α-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)」という酵素が作られなかったり、作られてもはたらきが弱かったりするために、細胞の中の「グロボトリアオシルセラミド(GL-3またはGb3ともいう)」という物質がたまっていくことで起こります。
酵素補充療法は、このα-Gal Aを薬にして、2週に1回点滴で補い、細胞の中にたまったGL-3などの物質を消化・分解して症状が進まないよう抑える治療法です。定期的に通院して、治療を継続することが大切です1)

シャペロン療法(薬理学的シャペロン療法ともいう)

シャペロン療法

ファブリー病患者さんのα-Gal Aがはたらきにくい原因のひとつに、遺伝子の変化によって、細胞内で作られるα-Gal Aの構造が不安定で分解されやすくなることがあります。
シャペロン療法は、α-Gal Aを壊れにくくしはたらきやすいようにサポートする薬を服用することで、GL-3の分解を促す治療法です。治療前には、原因となっている遺伝子の変化があるかどうかを調べる検査が必要です1)2)。シャペロン療法は、この治療法に適応する遺伝子の変化の仕方をしている患者さんのみに有効です。

対症療法

さまざまな症状を緩和するために行います。

  • 手足の痛み

    手足の痛み

    痛みの軽減や予防のため、抗てんかん剤などを用いて治療します。

  • 皮膚の赤い発疹(被角血管腫)

    皮膚の赤い発疹(被角血管腫)

    レーザー治療を行うことがあります。

  • 心臓の症状

    心臓の症状

    心肥大、心不全、不整脈、刺激伝導障害、心房細動が起きた場合、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血液凝固阻止剤などで治療します。必要に応じペースメーカーの植え込み手術などを行うこともあります。

  • 腎臓の症状

    腎不全が起きた場合、血圧降下剤などで治療します。末期腎不全まで症状が進行した場合は、透析や腎移植などの治療が必要になります。

  • 脳血管の症状

    血栓を防ぐ抗血小板剤や血液凝固阻止剤を使って治療します。血栓の原因となる高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の治療を行うこともあります。

  • 眼の症状

    眼の症状

    網膜の動脈が詰まった場合は視力障害が起こる可能性があるため、すぐに眼圧を下げたり眼底の血流を改善したりする治療を行います。
    角膜混濁はファブリー病に特徴的な症状ですが、通常は視力に影響しません。

  • 耳の症状

    難聴が起こった場合は、ステロイドなどによる突発性難聴の一般的な治療を行います。補聴器を使うこともあります。

ファブリー病マメ知識

シャペロンとは、もともとは「介添人」を意味する言葉です3)

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治療に当たってのポイント

治療に当たっては、早期診断とともに、症状を継続的に観察しチェックすることが重要です。

治療の開始時期について

いつから治療をはじめたらいいのですか?

治療を開始する時期は、性別や年齢、症状などにより決まります。男性の場合、ファブリー病の症状が一つでも現れたら治療を始めることが勧められています。女性は、男性と比べると治療開始の時期が明確ではありませんが、症状が進行することが検査で明らかになった場合や、年齢的には20歳ぐらいから、というのがひとつの目安です1)。次第に進行する病気のため、早く診断して治療を始めることが大切です2)

通院について

どのくらいの頻度で通院するのですか?

通院の頻度は、受けている治療方法によっても異なります。酵素補充療法を受けている患者さんは、原則2週間に1回、点滴を受けるために通院する必要があります。シャペロン療法の場合は、飲み薬が主治医から処方されるため、通院の頻度を調整することができますが、1回の通院で何日分のお薬が出されるかは、患者さんの症状やそのときの状態によって異なるため、主治医と相談しましょう。

定期検査について

定期検査の目安はどのくらいですか?

ファブリー病の経過は一人ひとりの患者さんによって違います。また、症状は時間とともに変わるため、主治医と協力して、定期的にからだの状態を観察することが大切です。全身の検査は、診断が確定したあとは、約半年ごとに行われるのが目安です。心臓や腎臓など個別の臓器に症状がある場合には、これとはまた別のタイミングで、主治医が検査を提案する場合もあります1)

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治療法解説動画

治療法解説動画

監修:東京慈恵会医科大学医学部 看護学科 教授 大橋 十也 先生

参考文献

  • 大橋 十也 先生

    監修:東京慈恵会医科大学医学部

    看護学科
    教授 大橋 十也 先生